ホワイトウッドとは
ホワイトウッドという木は北欧で採れる欧州トウヒ、スプルスなどの白い木の総称です。湿気がなくシロアリが生息しない土地で育った木なので虫害や腐朽菌に対する抵抗力が極端に低く、日本農林規格において耐朽性が非常に低いとされるD2という区分に該当されています。
つまり高温多湿でシロアリがうじゃうじゃ生息する日本で、何十年というスパンで使用する住宅の構造材としては非常に問題がある木なのです。聞くところによるとスギやヒノキの6倍早く腐ってしまうという実験結果も出ているようです。さらに言えば、この木はシロアリの被害を最も受けやすい木で、駆除業者に聞けば、この木がどれほどひどい木がわかります。
懲りない建築業界!消費者の知らないところで普及しているホワイトウッド
しかしこの木は柔らかいので加工性がよく、安く、狂いが少なく、御客様からのクレームが少なくて済む という売り手側の都合で一気に普及してしまいました。主に間柱(在来工法でいう補助的な柱)によく使われました、しかし柱となると話は別です。現場の大工さんたちは口をそろえて「こんな木、柱にして大丈夫かよ」といっています。
木材をよく知る建築業界の人で自分の家をホワイトウッドで建てたい人など一人もいないはずです。それほどこの木の危険性は一般消費者に伏せられた業界の常識なのです。
ツーバイフォーを選択した場合、制度上の仕組みからこの木を避けることは難しいでしょう。そもそもツーバイフォーは壁(ベニア)で荷重を支えるという考えであり、骨組みは面外座屈を防ぐ目的で使用されているため骨組み自体はあまり重要視されていないのかもしれません。
しかし、在来工法は柱に荷重がかかる構造です。構造上重要な柱にホワイトウッドを使用するのは、とても理解できません。
ホワイトウッドが「悪い木」だといっているわけではありません。現実には、アンティーク家具や楽器にも問題なく使用されています。
ただ「適材適所」という点で大間違いを犯しているのです。建築物の構造体に使うべきではない木なのです。
現場ではホワイトウッドの集成材にはきちんとしたJASマークのシールが貼られています。もちろんきちんと検査を通過したものでしょう。これを売っているメーカーには責任はありません。検査時に基準がクリア出来れば何十年も耐朽性が無くてもJASのシールは貼られるからです。
しかしこの認可というものが、この国では何回消費者を欺いてきたのか考えてください。血液製剤、BSE、アスベスト・・・どれも当時は違法ではなかったが、業界を守る為に意図的に見過ごされてきたものばかりです。
認可されているものをシールみて安全だと判断するのは消費者です。それでもと疑って自分で調べるのは、業界で働く人でなければ難しいことであり、それもプロとしての仕事だと思います。